タンパク質を構成するアミノ酸の生産をはじめ、さまざまな生体内反応に欠かせない生命原動力=酵素。
この大切な酵素のうち、現在確認されている約3千種ほとんどすべてを含んだ神秘の微生物が酵母です。
体内では絶えず化学反応が行われ、さまざまな物質の流れが、複雑な交通網のように入り組んでいます。その要所要所に配置され、交通整理を行っているのが酵素の役目です。 私たちの健康には、無数ともいうべき良質酵素が不可欠なのです。 現在確認されている酵素は、約3千種、そのほとんどを含んでいる酵母は、まさしく『酵素』の『母』。酵素を一種の化学工場とするならば、酵母は各種化学工場を総括した大工場といえるでしょう。
“触媒 ”とは、「自らは変化することなく、他の物質の合成・分解・変形などの化学変化を促進したり抑制したりすること」で、生体内の複雑な化学反応はすべて酵素の働きによって行われているのです。酵素もタンパク質である以上、生体内で生産されます。各細胞内にあるリボ核酸という物質が出す命令に基づいて、アミノ酸から合成されるのです。つまり、「酵素が生命を作り、そして酵素が生命によって作られる」というわけです。 酵素とは、一言で言えば“触媒”の働きをするタンパク質の事なのです。
酵素の働きを十分に発揮させるためには、さまざまな条件が要求されます。例えば、適度な温度や生理的水素イオン濃度、特別な場合には補酵素という酵素の働きを補う物質などが必要になるわけですが、 これらの条件が満たされないと、生体内での代謝がスム−ズに行われず、場合によっては『病気』という形となって現れることがあります。
現在知られている酵素の数は、約3千種類で、それぞれの最適条件や作用が詳しく研究が進むにつれ新しい酵素が次々に発見され、今後は何千何万と数知れなくなっていくことでしょう。顕微鏡を用いなければ見ることが出来ないほど小さな体にもかかわらず、千数百種にのぼる酵素を含有し、またビタミンB群の宝庫でもある酵母。酵素の研究の進展に伴って、酵母の有用性もますます解明されていくことでしょう。